八月朔日に


八朔。

祇園にゆかりがあるわけではなく。

父の命日にあたる。

気づいたら十三回忌を迎えた。

例によって 私は墓参りすべく 豊田に赴く。

この日の太陽はあの日と変わらずに暑くまぶしい。

射すような光線。

真っ青な空。

暑苦しくてうだるばかりなのに この日だけはいつも涼しく感じる。

私が父に心を込めて付き添ったのはおそらく3か月くらいの短い間でしかないが

あの時できうる限りのことは すべてした。

だから 後悔の念は ほぼない。

父と私だけが知りうる、母の本性。

木綿のハンカチーフ。

岩崎宏美。

土用の丑。

入れ歯。

モルヒネの効かなくなった痛みに悶絶する声。

すべて暑さを忘れるできごと。




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